一部帰国子女入試/大学院の院試等で純粋に選抜試験の代わりに利用されていることもあるかとは思いますが、TOEFL/IELTSでscore makingをされている方の殆ど多くは将来的に留学or jobで実際に英語を使うことを求められています。
欧米の高校/大学/大学院は、留学後に授業についていく上で、留学後に生きていく上で最低限必要になる英語力を所持することをTOEFL/IELTS scoreと言う形で求めているのであって(当たり前)、入試のようにふるいに掛ける目的では利用されていません。
そもそも留学生に対する学費が高額であることからくる金銭的なbenefit、留学生の受け入れ先の学校は留学生の受け入れ人数がステータスになること、学内のdiversityを上げてくれること、優秀な学生の中には卒業後も研究者等として残って国に貢献してくれるナドナド、留学生受け入れは欧米の教育機関にとってメリットが非常に大きくなっています。彼らはビジネスで行っている側面が強く留学生の受け入れには非常に前向きであることから本当に最低限の準備だけをしてくれれば合格にしてもらえる、と言うprogramがたくさんあります。みなさんご存知のHarvardにもほぼ出願するだけで合格できるprogramも中にはあります 。根本的なシステム自体が異なるため日本の場合は東大=凄い、の構図は基本的になりたつと思いますが、欧米で重要になるのは学校名よりも学部やprogramになりますので下手な宣伝にはご注意を。
したがって、TOEFL/IELTSのscore makingは日本でおおよそ行われている全ての英語試験 (英検/TOEIC等)とは根本的に大きく目的が違います。入試を含めた殆ど多くの英語試験は資格的な意味合いが強いためscoreが取れれば、目標校に合格できれば勝ち組で、勝てば官軍という側面が強いのは事実ですが仮にも留学される場合にはそうはいきません。留学後はTOEFL/IELTSをはるかに凌駕する高い英語力が実際に求められます。高校から大学院まで対象者の幅は広いと思いますので以下間をとって大学レベルで紹介させていただきます。
留学後必要になるreading力の目安
学部により大きくworkloadに差は出ますが必ず履修することになるのがEnglishのクラスです。今年の生徒でCampbellsville Universityへ 留学された生徒がいるのでこちらの大学を基準にします:Harvard等を参考にしても、そんなレベルの高い大学行かないから関係ないな、と思われるかもしれませんので。大学ランキングでは圏外になります。Competitiveなschoolを外したい、という意図でこちらの大学にさせていただきます。
The Kite Runner, by Khaled Hosseini
Hamlet, by William Shakespeare
Macbeth, by William Shakespeare
1984, by George Orwell
Source: https://www.monroe.k12.ky.us/userfiles/1000/Classes/1562/CP%20English%20IV%20Syllabus%202010-11.pdf
シラバスを見るとassignされているreading materialsは小説のみでおそらく上記4冊です(細かくcheckしていないのでもっとあるかもしれません)。これは小説のみなので他に別途教科書やarticleのreadingが追加されるでしょう。16週間で4冊なので4週間でnovel1冊分は最低readingを行うことになります。このクラスは3 creditですが、大学の場合最低12 creditを履修することになるので単純に4倍すると1週間でnovel1冊分程度のreading量はどれだけ少なく見積もっても覚悟された方が良いでしょう。勿論programやmajorにより分量は多少異なりますが、少なくとも大学レベル以上の場合この程度は要求されると思います。さて、私の場合はというと1日1冊程度のreading量を強いられる事も普通にありました。
留学後に必要になるListening力の目安
渡米後翌日に銀行口座をopenするために銀行へ一人で行きましたがbalanceがどうのこうの…と言われて、英語力も怪しいかつ、システムもよく分かっていない私は、“あぁこれは本格的にやばいなぁ”と思ったことは鮮明に思い出せます。TOEFL/IELTSは所詮外国人向けの教材なので実際はさらに高速で話される英語を聞き取らなければならないシーンの方が圧倒的に多いです。以下HarvardのJusticeという有名な授業になりますので勉強の変わりに(面白いので)聴いてみると良いでしょう。
TOEFL/IELTSのscore makingで苦しんでいる方は理解することは困難かと思いますが、実際に留学後は上記のようなクラスに身を置き発言することを求められます。TOEFL 80点/IELTS 6.5以下で留学されるとそもそも宿題すら何が出されているのか理解できない、という状況に置かれる可能性があります。TOEFLやIELTSの問題は多くの方にとって確かに難しいとは思いますが、それすらできないまま留学されると何を言われているのかすら理解できずにニコニコするだけ、ただただ辛いまま留学期間が終わります。
留学後に求められるSpeaking力の目安
YouTubeからcollege presentationと検索をかけて出てきたものを適当に引っ張ってきました 。その中でかなり皆さんが留学後に行うであろう状況にかなり近いようなものをpickさせていただきましたので参考にしていただければと思います。皆さんにとっては大変悪い知らせになりますが欧米はpresentationが大好きです。留学programにもよりますが、semester中に最低一回、多い時には1つの授業だけでも複数回presentationをさせられることになると思います。日本語でのpresentationでも緊張してうまくできない、という方は多いでしょう。それを英語で行うのですからハードルが高すぎます。私の場合ももれなく、presentationを行わなければいけないという事実を知ったその瞬間から鬱でした。流石に3回目あたりからは慣れましたが。文化の違いからpresentation中にもバンバン手をあげて質問をしてくる人がいますし、presentationが終了したら必ず質問を受けます。自分がaudienceの場合、他人のpresentationの内容について質問をすることが強要されます。TOEFL/IELTSレベルでSpeakingができないと本格的にヤバイです。Reading力が劣っている場合には徹夜すればcoverできるかもしれませんがSpeakingの場合は瞬発力が要求されるので、本当に最低限はspeakingができないと留学後に干されます。さらに悪いnewsとしてはクラス中に発言される際の英語やpresentation後にされる質問の際の英語のspeedはTOEFLやIELTSの難易度と比べると圧倒的に速いことが殆どです。もし発表中に/後の質問をそもそも理解できるだけのListening力がなければ、どのような状況に陥るかは想像できるでしょう。
留学後に求められるWriting力の目安
Writing powerは留学後の成績にそのまま直撃しますので留学生にとっては最重要になると思います。短期留学の場合でも一定の成績を落とすと強制帰国になりますのでご注意を。
下記WritingはTOEFL/IELTSではないので、内容を無視した上で簡単に、で構いませんので読んでみてください。
In discussion of college sports, one controversial issue has been about whether student athletes should be given monetary compensation for their contribution on the team, in addition to the scholarships they receive. In this passage, the author makes the argument that student athletes should, in fact, be paid. The author strengthens this argument by using specific monetary data, citing a federal source, and employing the word choice “DNA.”
The author uses specific monetary data to emphasize why student deserves to be paid. For example, the author draws from the most recent federal data that the University of Texas football team generated $77.9 million of profit in 2011-2012. Here, by providing a monetary value that is undeniably large, the author is making a point that college sports create a lot of money. The number in the data effectively conveys the enormousness of the amount, because it is a definitive quantity that people generally see as large, whereas if he replaced the data with words like “huge” or “large,” it leaves ambiguity of how huge or large the profit is and could possibly have people underestimating the actual profit. Since the use of data eliminates the ambiguity of how large the profit is and makes it clear that the profit is indeed large, it draws the attention to the unreasonableness of the fact that student athletes get none of this share. Therefore, the use of data allows the readers to agree with the author in that student athletes deserve to get paid.
上記Essayの英語のレベルを見ていかがだったでしょうか?おそらくTOEFLやIELTSのprepをされている、この内容を読んでいる殆どの方よりも上記作成者の方が英語は上手だと思います。このessay作成者は高校2年生です。おそらく驚くかと思いますが、このwritingの英語レベルで高校留学だったら良い成績が取れる、というラインになります。これで高校レベルだとすると大学大学院でやっていけるか…?と言われると殆ど多くの日本人留学生は留学前の皆さんが思うような生活はできてはいません。少なくとも80点以下/6.5以下の場合アメリカ中学生レベルのwriting能力orそれ以下になります。実際に欧米or international schoolで勉強されている方は中学生の頃から頻繁に1000 words以上のessayを書いています。
では大学レベル以上の場合は?
INTRODUCTION
85% of the total population in the Middle East and North Africa (MENA) are politically repressed by their governments, deprived of political rights and civil liberties that they are supposed to enjoy according to the Universal Declaration of Human Rights (Freedom in the World 2016, 10). From the fact that more than 90 percent of the total population in the MENA are Muslims, many academics point to the religion of Islam as the culprit of poor freedom ratings in MENA (Mapping, 16). I would propose, however, that lower freedom in the MENA cannot be explained by the presence of Islam per se. The bigger factor turns out to be the degrees to which states integrate Islamic law, Sharia, with their political, legal and social institutions.
同様に内容は無視していただき単純に英語のレベルの水準のお話をさせていただくと上記のレベル感であれば大学/大学院でも良い成績が取れるでしょう。留学をすれば上のようなessayと並べられて比較されることになります。
TOEFL/IELTSのwritingで例えば文法ミスをする、というレベルは日本語で表すとNative speakerにとっては “私を昨日学校は行きました。” のような英語を書いている可能性があります。そのような日本語力で日本の高校/大学/大学院の授業についていけますか?と聞かれたら皆さんNoだと言うでしょう。TOEFL/IELTSのスコアmakingで苦労されている方の英語レベルは中学留学程度、というのが現実です。
留学後に求められる勉強時間
TOEFLやIELTSができないと留学できる/できない以前のお話で根本的にマズイということが少しでも理解できると思います。留学programやmajorによって負担の度合いは大きく異なります。この点youtubeに授業動画等の検索、学校名 クラス名 (CHM113等) syllabus で検索をかければ留学後に履修するであろうクラス内容に一部がわかるのでどのようなものか、少しでも想像はつくかと思います。
米大学の場合、1 creditあたり大体クラス外での時間が週3 hours程度になるように設定するように、という外部ルールが存在します。クラスによってはより多くの/少ない勉強量を求めてくるものありますが、最低の12 creditsを1 semesterでクラスを履修するとすると、36 hours/week程度は勉強をすることを大学側は求めています。
以下はかなり甘い見積もりになりますが
TOEFL60/IELTS6程度の場合:どれだけ努力しても日本語と同程度のパフォーマンスを英語出すことはできません。そもそも聞かれていること自体が全く理解できない、文法運用が正しくできない、課題のreadingが理解できない可能性がたかいです。
TOEFL80/IELTS6.5程度の場合:この程度のレベル帯の場合日本語で出せるパフォーマンスの10-20%程度の出力は英語出せるでしょう。
TOEFL100/IELTS7程度の場合:実力のうち大体2-30%程度は英語で表現できると思います。
TOEFL110/IELTS7.5程度の場合:このレベルで3-40%程度、母国語でのパフォーマンスを英語で出せるかと思います。
私の場合TOEFL110は軽く越えられる英語力は備えていますが日本語で取り組んだ場合の50%のperformanceは英語で発揮できないと思います。(体感3-40%程度です…)
もちろん標準となる週36時間の学習expectationはnative studentsに対してになりますので、例えば80/6.5程度の英語力で留学されると大体週120時間学習時間を投資することになります。留学先のnative speakerよりも性能の良いエンジンをあなたが積んでいれば負担は軽減できるとは思いますが皆さんが思い描くようなhappy 留学 life!のような生活にはまずなり得ません。一部のシーンが切り取られてハイライトされているだけです。
ではあなたは100時間程度は週勉強されたのですが?と言われると、私はクリスマスや1/1日新年も含めて週100時間程度留学中は勉強していました。
情報の歪み
上記の内容に目を通して頂ければ、英語がペラペラではない場合どのような生活を送ることになるか、のイメージは持っていただけるかと思います。では何故そのような情報が出回っていないか?は、こちらも同様にネット情報が歪められているから、だと思います。今年夏頃にお会いした短期留学された大学生も、毎日辛すぎて本当に帰りたかった…とお話を伺いましたがあまりそう言った情報は耳にされないと思います。
仲の良い留学されている友人は友達の前では留学は楽しいよ、なんとかなるよ、と話している一方で、直接連絡をとった際には、そもそも何を言ってるのかすら全く理解できないし、会話なんかできるわけもないし、本当に辛すぎて死にたいと言っていたのが印象的だった、と生徒からお話を伺いました。そもそも見ず知らずの他人に辛かったありのままの体験を話すことはほとんどしないだろう、というのが1点目。
もう1点目はおそらく留学エージェントは留学をしてもらわないと困る(売り上げが減るので)という理由でそう言った業者からの広告の影響もあるのでは?と思います。良い面をハイライトして留学してもらうことに躊躇されないようにしているのかと思います。
留学をどのように定義づけするのかは人それぞれかと思いますが留学前の皆さんが思い描くような留学生活を送れている日本人学生は皆さんの想像より圧倒的に少ないです。留学しちゃえば大丈夫、というのは厳密には毎日辛すぎて死ぬほど大変だけどなんとか最低限は卒業できるだろうから大丈夫、という意味ですのでご注意を。
留学をする目的
そもそも留学をされる方の多くは “留学をすること“という行為自体を単純に目標にはされていないと思います。準備を含め留学することには金銭的負担が伴いますし中には学校/仕事を辞めて留学される方もいると思います。留学することは時間とお金をinvestするriskを伴う大きな自己投資になると思います。東大に入学されて一種 “成功”される人は一部だと思います。同様に留学をされた後それがあなたの為になるかどうかも留学先での過ごし方次第です。英語ができないまま(TOEFL/IELTS scoreが不十分なまま)留学されても留学先で辛い思いをするだけであり、returnはもたらしません。そもそもListening scoreが低く、話し相手が何を言っているのかが理解できなければor Speakingで最低限自分が伝えたいことが話せずに、点数が取れないほど英語が話せなければ留学先でどのように外国人とcommunicationを取るのでしょうか?英語の基礎部分(TOEFL/IELTS score) がおろそかなまま留学されても英語ができるようにはなりません。理解できない/話せなくて辛いので英語を話す環境から身を遠ざけてしまうだけでしょう。4年留学してTOEFL60/IELTS6にさえ到達されない方はたくさんいます。留学の世界は特殊なので準備のためにstartを遅らせることは大きな問題にはなりません。大学卒の場合2-3浪に相当する年齢の方(orそれ以上behind)も非常に多くストレートで卒業される方は純ドメの方では相当少数です。MBAやLLMも私の生徒だけでも毎年一定数の方は1年遅らせたのちに出願されます。留学はより大きいgoalへ到達する為の一つの通過点にすぎないと思います。TOEFL/IELTSを留学する為に確かに必要にはなりますがそのために勉強している (何文字書けば良いのか等)という状況はより先の、より大きなpictureが見えてはいません。TOEFLやIELTSのスコアを上げることは確かに重要ではありますが。長期的にみると準備が不十分のまま留学される方が余程大きな損失を被ることになりますよ。